top of page

【  6  「機能」を発揮するための「形」  】

 

  我々人間はその社会生活において、いろいろな「動くもの」を発明し、開発し、造ってきましたが、これらの中で特に「乗り物」に注目して、その形の中の自然界や生物のマネではない独特の機能や工夫、そして仕組みについて調べてみます。

  【 陸 上 車 】

   

   人間は「車」の発明とその利用によって楽に移動でき、重い荷物も容易に運搬することができるようになりました。陸上の「乗り物」類は

  この「車」を前提として開発されてきたのです。

   最も身近な「乗り物」として、今でも子供から大人まで自分の脚力で動かせる「三輪車」や「自転車」が使われていなすが、人や荷物を運ぶ

  ために牛馬が牽引していた二輪や四輪の「荷車」は、「蒸気機関」や「ガソリンエンジン」、「電動モータ」等の原動機を組み合わせて、「汽

  車」や「電車」、「自動車」へと開発が進み、大きく形態が変わっていったのです。

 

● 「乗り物」の始めは三輪車!

 自然界の動物がその場に静止するために最小限必要な脚は3本でした。人工物においても、人間が生まれてから最初に乗る「乗り物」は”三つの車輪”の「三輪車」でしょう。また荷物を運搬ための「乗り物」にも最低三輪が必要です、人力ではなくガソリンエンジンを装備したマツダの「三輪トラック」やダイハツの「ミゼット」が流行したのは昭和30年代でした。しかし三輪では速度をあげて急角度でカーブすると転倒する危険があります。やはり地上を安定して走るには四輪が必要となったのでしょうか・・・・・・・? 

 

 どっこい「飛行機」の降着装置はほとんど三輪です。但し、戦前の戦闘機の多くは機首に大きなプロペラを装備しているため、「ダイハツ・ミゼット」の車輪配置とは異なり、前方二輪、尾部一輪の形態をとっていました。そのため離着陸時の安定走行が難しく事故も多かったようです。ラジコン操縦のゼロ戦スケールモデルを作る場合には、前方二輪をトーイン(内股)にすることをお忘れなきように!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     

                          初代「ダイハツ・ミゼット」              前方2輪のゼロ戦

         三輪車            

 四輪車の課題

 四輪自動車を安定して直進、旋回指せるためには色々工夫が必要であったと思われます。 安定直進するためには二つの前輪を内股にする(トーイン)必要があります。 但し、前輪駆動の場合はトーアウトとすべきでしょう。 更に、動力を伝える後輪は、三輪自動車も同様ですが「デファレンシャル機構」が必要でした。 また走行速度の向上により、空気抵抗はその二乗に比例して大きくなり、空気の乱れによる騒音も当然大きくなります。 そのため自動車もデザイン性のみではなく、風洞試験やコンピュータによる空気力推算や安定性の解析、実走行時の騒音計測等によって最適形状の追及が重要となっ

ています。

 

 蛇足になりますが、かって乗用車は、スカG、ブルーバード、コロナや

ベレット等々、スタイルに特徴ある車体が多かったものです。

 最近では”カッコいい”のか”悪い”のか個人的な見解ですが、殆どの乗用

車のボディーラインが直線で“上げ尻”、またヘッドライトも皆“ツリ目”!

、スピード感を表現しているのでしょうが、車体と車窓とタイヤの”共存 

構成物体”の感が無くなってはないでしょうか。                     垂れ尻”の2代目ブルーバード

 流行とはいえ昔の“曲線”のボディーラインが懐かしいか限りです。          海外の著名なカーデザイナーの作品とか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           “ブタ鼻”のベレット1600GT               赤鼻のトナカイならぬ“長鼻”のスカG

            最高にカッコよかった!!               スカイラインのノーズを延ばしたゾウ! 


 

 

 

 

 

 

 

 

             “上げ尻”の原祖:プリウス                                                   “ツリ目”の新型クラウン

 

 

● 特殊な「陸上車」

 三輪、四輪車は平たんに整地された場所(広場や道)でしか運用できませんが、

一輪車や二輪車であれば人間の平衡感覚によっては山道やロックガーデンでの走行

が楽しめます。現在ではマイコン制御による一輪車ロボットが製作され、綱渡りま

でこなしています。(ムラタセイサク君とセイコちゃん)。 

 

 「車」を離れると、「キャタピラ車」は“無軌道車“とも呼ばれ、不整地での走行

に適しています。 最も有名なキャタピラ車は戦場の塹壕を突破するため考案され

た「戦車」ですが、通常、工事用車両、農耕用車両によく見られます。

 

 更に特殊な車として「ねじ車」があります。 草地、砂地、沼地、はては水上、

氷上で走行可能ですが、実用にはまだひと工夫が必要でしょう。 日本では流氷砕      ムラタセイサク君とムラタセイコちゃん

氷船がりんこ号Ⅱ(北海道門別港での観光船)の例があります。

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

                  キャタピラ車                          ねじ車

  【 鉄 道 車 】

 

   蒸気機関車はイギリスのリチャード・トレビシックの発明です。 馬車鉄道の馬の代わりに蒸気機関を動力としました。 その後ジョージ・ステ

  ィーブンソンが考案した「ブリュヘル号」では車輪が現在の輪縁付のものとなりました。 動力源である重い蒸気機関車は動輪とレールとの間に発

  生する大きなすべり摩擦によって牽引力を得て、小さい転がり摩擦の客車群を引っ張れるのです。

 

 

● 線路と車輪 : 車両がカーブできる訳

 鉄道車の左右の車輪は一体です。直進走行では支障ないのですが、カーブでは外側の車輪は内側車輪より長い距離を転がらなければカーブを曲がれません。 そこで車輪の内側直径と外側直径とに差をつける(踏面傾斜)ことにより、カーブの遠心力で車輪が外向きにズレることにより同じ回転数で回転する左右車輪の進む距離に差をつけてカーブを曲がります。

      

 

 

 

 

                                     黒:直進時のレールと車輪位置(左右対称)

                                       左へカーブすると赤線の位置に!

 

 

 

 

 

 

● ボギー台車 : より曲がりやすく!

  車両が長くなるとカーブが曲がりにくくなります。より曲率半径の小さいカーブを無理なく曲がれるよう、車両への取付中心で回転できる「ボギー台車」が考案され、現在の電車はほとんどこの形だと思います。 また、東海道新幹線構想当時、新車両は連結部に「ボギー台車」を取付け、カーブでの車両連結部のズレをなくす機構:「連接車」も検討されていたと記憶しています。

  

 

 

 

 

 

 

 

                                              通常ボギー車と連接車

                                                                                                                       (車両連結部にボギー台車を着けている。)

         ボギー台車(上)と通常車両(下)          

 

● レール・ポイントの仕組み : 分岐

 よく冬季に “ポイント凍結のため・・・・・” というニューズを耳にします。鉄道模型に興味のある御仁には当たり前のことと思いますが、小さいころは電車の運転手が操作しないのにポイントで路線変更出来るのが面白く、よく先頭車両の前方窓に立ち、ポイントが近づくとやがて自分が自然に別進路に移っていく、一種の”電車に全て委ねている”感覚を楽しんだものでした。

 かっては、阪急電鉄の西宮北口駅では珍しい十字交差のレールがありました。通過する際の、独特なあの振動と音の感覚は忘れられません。

 

    

 

    

 

 

 

 

                  ポイント例                        

               左から右へ直進する形態   

              ①の部分が動き、右上の分岐路線へ

                                                    十字交差レール

                                                 輪縁のための“隙間”があります

 

● 電車、新幹線で思うこと

 電車のアクセル:「ノッチ」ですが、「ねじ」が右回しで前に進むように「ノッチ」も右回しで電車増速前進でした。電車も進化し、阪急電車の新しい車両の運転室には「ノッチ」ではなく「ワンハンドル・マスコン」が装備されています。その先頭車両で運転席を眺めていたとき、「マスコン」の操作に少し違和感を覚えました。運転手さんはレバーを引いて(Pullして)進行、押して(Pushして)ブレーキの操作を悠々とこなしていたのです。これは飛行機の操縦稈やスロットルの操作と全く逆なのです。人間工学的にも前進しようとすると前のめりの姿勢、停止しようとすると “手綱を引く”動作が自然なのですが・・・・・。 東京での私鉄:京王電鉄でもマスコン操作は阪急と同じでした。

 

 

                                                                                                            両手を携えた”マスコン”

 

 

 

      

 

    左手に”ノッチ”、

        右手は”ブレーキ”?                      

 

 

 

 話はガラッと変わって、初代新幹線の”顔”を見ていると、戦後初の国産旅客機「YS-11」の機首と映画「ゴジラ」の顔を連想します。絵画の世界では人物の顔を描くとき、もっとも見慣れている人(自分)の顔に似てくると言われるように、日本で製作したSF映画「ゴジラ」の顔と、日本で設計した新幹線「ひかり」、国産旅客機「YS-11」の顔に、どこか共通した日本的、東洋的なイメージを感じます。

 

 しかし、最新の新幹線「7000系のぞみ」の顔は、国内では棲息していない動物:“カモノハシ”と云われるように、嘴が突き出た凝った顔付きとなりました。この”顔”はトンネル突入時の衝撃音軽減効果がある形状だそうですが、それより、物の設計や製造がCAD化され、機械化されて日本人ぽくなくなったところ少々物足りなさを感じます。 

 

 

 

 

 

 

 

   

  

 

         初代 ひかり 

                                                                                                                                                                 初代ゴジラ

    

                           

 

 

 

                                                        100系ひかり

 

                                                                                                     300系のぞみ 

 

                                                                                                                                     500系のぞみ 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                                                                  700系のぞみ

 

                                 

       戦後初の国産旅客機:YS-11

 

 

                                         700系とN700系の顔比較

 

                                                           N700系のぞみ

 

  【 船 】

 

   押しのけた水の質量だけ浮力が働き(“アルキメデス”の原理)、鉄の船でも水に浮くことができます。 ”浮く”だけであれば「ヤジロベー」のよう

  に重心を浮力中心より低くするだけでいいのですが、いざ”動かす”となれば、空気抵抗の800倍もの水抵抗に打ち勝つ大きな力とエネルギーが必要で

  す。よってなるべく波を起こさない、渦を発生させない形が必須です。

 

● 船の形 : 流線型+α

  昔から「船」の喫水線の形状は流線型が取り入れられてきました。 水中を泳ぐ”魚”の形状が良いお手本だったのでしょう。しかし水上を進む「船」は、水面に波を作るために”造波抵抗”が余分に発生します。この造波抵抗を減らす目的で開発されたのが水中の船首部分を突出させた「船首バルジ」です。日本では早くも戦前の「戦艦大和」の船首に見ることができ、最近では殆どの船舶に採用されてきています。

 

 また「潜水艦」のような水中を進む“没水艇”において、 クジラやイルカの形に似た紡滴型のものが水中を進むと波を起こさない(造波抵抗がない)ので水上より速度が上がります。 通常の甲板のあるボート型の潜水艦は水中での抵抗が大きく、水上の速度の方が早くなります。まさに「外形」によって「性能・能力」は大きく左右されます。

 

 

 

 

 

 

 

                                    紡滴型潜水艦「あきしお」

 

 

                           

            

           「戦艦大和の船首バルジ」                               陸に揚がった「あきしお」

                                                      

水から出た船

  水抵抗が大きいならば、いっそのこと胴体を空中にて出してしまえ、・・とばかりに「水中翼船」と「ジェット・ホイル艇」は、艇体下部に水中翼を取付け、船体を水面から離すことにより高速を出すことができます。 一般的に「水中翼船」の水中翼は上半角を大として横安定を増していますが、水中翼が波の影響を受け、振動、衝撃が大きいという難点があります。これに対し、「ジェット・ホイル艇」ではコンピュータ制御によって水中翼を動かし姿勢安定させているので、水中翼は小さく高速時は常に没水しています。よって波の影響は小さく、振動・衝撃もは減少します。

 

 「ホバークラフト」は、エアクッションで浮かぶので、水上、陸上を問わず走行時の摩擦抵抗は極端に小さいのですが、逆に姿勢制御を空気力にのみに依存せざるを得ないので、運動性は緩慢であり横風などに弱いという弱点があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

                        水中翼船                         ジェット・ホイル艇                  ホバークラフト

  【 飛 行 機 】

 

      「鳥」の翼を真似て、歴史上初めて滑空したのはドイツの「オットー・リリエンタール」と云われていますが、日本でも「浮田幸吉」がその

  100年も前に「カラス」の姿を真似て滑空機を考案していました。また動力付き飛行機についても、アメリカのライト兄弟に先駆けること数年、

  「二宮忠吉」が昆虫の「玉虫」を参考にしたゴム動力飛行機を提唱しています。

   動力付き飛行機の初飛行(ライト兄弟のフライヤー号)以来110年なり、”最早、研究的要素はない”とまで公言される「飛行機」ですが、“落

  ちない”、“滑走路のいらない”、“個人の” 飛行機実現にはまだまだ研究開発を必要としていると云えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

                       オットー・リリエンタール               浮田幸吉の滑空機の模型                              二宮忠吉の動力付き飛行機

 

● 降着装置(脚)の苦労

  軽くて低速のグライダーなどは離着陸に”ソリ”を使っていましたが、機体が大きく重くなり、より高速で飛行するようになると安全な離着陸のための降着装置設計に苦労します。

 一つは脚の長さの課題です。初期のプロペラ機は大口径のプロペラと重いエンジンを機首部分に取付るため、長い主脚によって機首を持ち上げペラと地面とのクリアランスを保つ必要がありました。 中翼の「紫電」では、脚を一旦翼内に引込んで更に折りたたむ二段式の長軸脚を開発しましたが、その複雑な構造のためトラブルが多発しました。そのため、大改造した「紫電改」は低翼となりました。

 また、米軍の艦載機であった「コルセア」は主翼を逆ガル型にまでして脚を短くしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

            「紫電」の脚                             「コルセア」の脚

 

 二つ目は高翼機の脚の取り付け位置の問題です。離着陸時の横風による横転を防ぐために主脚の轍間距離(脚幅)を十分にとる必要がありますが、元々水上機の「PS-1」を母体とする「US-1」は高翼なので、主脚は胴体側面に取り付けていますが、胴体幅が狭いため主脚間隔が設計基準に対して不足しています。そこで国内諸空港で発生する横風に対して十分安全に離着陸できることを飛行シミュレータ試験で確認し、狭い轍間距離での水陸両用機の完成にこぎ着けました。

 アメリカの「B-52」爆撃機は同様に胴体幅が狭く、高翼なので、下部胴体にタンデム型に主脚を取り付け、さらに両翼端近くにに補助輪を付けて翼が接地するのを防いでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              US-1Aの脚                   B52の胴体車輪と補助輪

             

● ジェットエンジンの取付位置

 ジェットエンジンが発明され、より高速を要求された戦闘機等は胴体内に取付け、というよりジェットエンジンと燃料タンクが翼をつけて飛んでいるようなものですが、人間や荷物を胴体に搭載する旅客機、輸送機などは、エンジンを機体のどの位置に取り付けるのが最も効率的か大きな課題でした。しかもジェットエンジンは亜音速で効率の良いバイパスエンジンが主流となり、ピュア―ジェットと比較して直径が大となってきています。旅客機ではは頭初、イギリスの「コメット」に見られるように、エンジンを翼根に埋め込んでいましたが、米国:Boeing707で主翼前縁に吊架する形が確立され、現有の殆どの旅客機のエンジン取付位置はこの形態をとっています。久しぶりの日の丸ジェット:MRJも双発の主翼前縁吊架型です。

 又、「PS-1」がプロペラ後流偏向で低速離着陸性を実現したように、旧NALのSTOL実験機「飛鳥」は主翼上面に4発のジェットエンジンを搭載してUSB(Upper Surface Blowing)による短距離離着陸を実証しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           

            コメット(ジェットエンジンは翼根埋込み                Boeing707( 翼下吊架型の始まり 

                 ( 空気入れ口が見えます )

 

 

 

 

 

 

 

 

               飛 鳥(USBによるSTOL機)                  MRJ ( 久しぶりの日の丸ジェット  )  

 

●飛行艇とその用途

 飛行艇は飛行機の胴体を”船”にしただけではありません。 「ステップ」とその後部の艇体が重要です。「ステップ」より前方の艇体が水面を切り分けて進み、「ステップ」で艇低を離れた水面が再び盛り上がってきて後部艇体を叩くことにより、水面上で安定して高速直進でき、揚力の増加と共にやがて方向舵、昇降舵が効いてきて離水できるのです。

                                           ステップ

 そこで飛行艇の艇底に給水のスクープを設ければ、容易に消火用水を艇内に取り

込むことができ、なおかつ、即、災害地に向けて離水し飛行できるわけです。

 よって空中消防は飛行艇にとって打って付けの任務でしょう。

 

 しかしながら空中からの放水による消火、延焼阻止には種々の課題があるようで

す。「消防飛行艇」には兎に角、大量放水能力が要求されますし、火災場上空の気

象環境(煙、熱、旋風等)に耐え、安全確保の緊急回避のできる運動性も持ち合わ

せていなければなりません。また緊急の出動要請に、即刻対応できる運用体制と

機動力を維持しておく必要があります。

                                 

 

 

 

 

 

                        PS-1による空中消火実験

                             (昭和52年頃 8tonの放水)

              

                                                         飛行艇の水上滑走

 

                                                                                                                             

● 飛行船の課題

 ドイツでは1900年から1930年代にかけて、旅客用の巨大な飛行船が建造されてきましました。「ツェッペリン伯号」、「ヒンデンブルグ号」です。 空気より軽い気体として「水素」を利用せざるを得なかっため、「ヒンデンブルグ号」が大事故を起こしたことは余りにも有名です。

 日本でも近年、巨大飛行船を成層圏に浮かべて通信・放送に活用しようという計画、「成層圏プラットフォームプロジェクト」がありました。 成層圏という空気の薄いところまで上昇させるための胴体構造や膜材料、そして浮力制御等の研究開発と、その実証実験が行われましたが、長期間成層圏に滞空指せるための肝心の「再生型燃料電池」の開発目途が立たず、中断となった経緯があります。研究が継続されていれば、「ヒンデンブルグ号」のような全長200mを超す巨大飛行船を国内でも見ることができたかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      ヒンデンブルグ号(LZ129)の事故                                                         JAXA「成層圏プラットフォーム」

                                                                                                   定点滞空飛行船(全長45m)

                                            地上の建物は管制棟格納庫(右)と格納庫(右)

 

● VTOL機と無人機

 人間社会に貢献する飛行機の将来技術コンセプを挙げるとすれば、まず”落ちない飛行機(安全・安心)”でしょう。但し、地球に引力がある限り空に浮かんでいるものは落下する事は避けられません。飛行機は万が一にも墜落、不時着した場合でも、最低限地上の人・物には影響がないように飛行空域や経路をきめて運用しているのが現状です。”落ちない飛行機”は究極の夢でしょうか?

 

 滑走路のいらない飛行機(VTOL)は長年の夢でした。過去に幾多の試験機、実験機が研究開発されてきましたが、「V-22」は複合材料による構造軽量化と大出力エンジン、そして先進的なディジタル飛行制御(勿論コンピュータの驚異的進歩を含む)によって、ティルトロータ技術が実用の日の目を見たわけです。軍用とはいえ日本の中でVTOL機が実運用に供されることは革新的な出来事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   V-22 オスプレイの離陸          エンジンとローターを傾けて遷移飛行          巡航形態での水平飛行 

 

 そしてもう一つのコンセプトは「無人機」です。ラジコン模型機から発達した小型の「ドローン」が地上空撮や小荷物運送などに使われ出しています。やがて予めスケジューリングされた運行計画に基づき、離陸から目的地でのミッション遂行、そして帰投・着地まで安全を評価しながら自律飛行する「UAV」も実用化されるかもしれません。最早技術的には夢の段階を超えていますが、行政や法規の観点からなかなか進捗しないところがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

      軍用UAV「グローバルホーク」             JAXA UAV試験機               最近のドローン   

                             2012年「災害監視用無人機の研究」より         宅急便の荷物を空輸

 

● 音速を超えて

 飛行機が亜音速飛行から超音速飛行に移行する場合、まず、課題となるのが遷音速

飛行時の空気の造波抵抗の発生です。旧形態の戦闘機では飛行速度が音速に近づくと造

波抵抗が急激に増加し、なかなか音速を超えられなかったのです。

 これを解決したのが機体の断面面積変化を滑らかにする「エリアルール」とい

う理論で、昭和45年頃には米国の論文に造波抵抗を最低にする胴体断面積分布形

状の理論式が発表されていました。

 但し、当時まだジェットエンジンの吸い込み空気量の影響や胴体中心からどれだけ離

れていれば影響がないか等、実際の機体設計に供しえる論文はまだなかったようです。

実際にアメリカの戦闘爆撃機「F105:サンダーチーフ」の胴体を見ると、“マリリン

モンローの胴” や “コカコーラ ボトル” と称されるように主翼の取り付いているあたり

の胴が細くなっているのが判ります。                        F105:サンダーチーフ」平面図の胴体形状に注目!

 

                          超音速飛行になると主翼の空力中心が後方へ移動するのでトリム修正や機体の重

                         心移動等の対策が必要です。世界初の超音速旅客機「コンコルド」ではこの対策

                         を胴体内燃料の移動で行っていました。

                          

                          また超音速機の発生する「衝撃波」は地上にびっくりするような大音響をもたら

                         します。「コンコルド」が普及しなかったのもこの衝撃波公害の影響が大きかった

                         かもしれません。日本においては、この「衝撃波」の発生を軽減する機体形状の研

                         究も進められており、再度「超音速旅客機」の登場も期待出来そうです。

                         

      コンコルド」大迎角での離陸       

 

● ロケット、人工衛星、宇宙ステーション

 ”蛸”や”烏賊”に ロケットの推進原理を見ることができますが、甲子園球場でよく飛ぶの”ゴム風船”も同じ原理です。

 初期のロケットでは空中を飛行する時間帯が長く、安定飛行のためにも胴体後部にフィンを取り付けていましたが、推力を直接的に偏向することで姿勢制御できるのでフィンは小さくなっています。又、宇宙においては”空気”や”水”が存在しないので、人工衛星や宇宙ステーションの外形形状には何らの制約もなく”流線型”など論外です。その代り、流星、宇宙塵、太陽輻射、放射線、内圧等々、地球上自然界では経験できない環境に対応する「物つくり、形」が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    V2(ドイツ)          カッパー型ロケット       イプシロン・ロケット          国際宇宙ステーション

     巨大なフィン           小さめのフィンです         フィンは無し             流線型とは無縁

 

  【 ロ ボ ッ ト 】

 

 「自動車」は日本の経済成長に最も寄与した「ものづくり」の一つであることは間違いありません。最近では自動運転の研究開発が進み、人間が運転しないで市街地を安全に走らせるロボット化が叫ばれています。しかし、「自動車」は平坦な地上面の走行を前提として造られているので。急坂や段差、階段の存在、未整備地とか災害地等での走行には全く無力です。前述した「キャタピラ車」や「ねじ者」、「ホバークラフト」など、考案されてきましたが、「車」から離れた自然動物の移動手段を参照して、4足歩行ロボットや多足ロボットの研究開発も進んできていますし、2足歩行のヒューマノイドの開発は介護現場の援助ツールを実現し、飛行ロボットの研究開発は人の近づけない場所や災害地の情報提供ツールの実現をもたらします。コンピュータの驚異的発達は「ものつくり」と連携して、社会に「安全・安心」と「介護・福祉」のためのツールつくりにも貢献していくでしょう

 

 

     次回は 「                」と称して、図面つくりに関して記述します。

Eメール

ate73601@bcc.bai.ne.jp

  • facebook
  • Twitter Clean
  • w-googleplus

© com_hiroshige

Wix.comを使って作成されました

bottom of page